スウェーデンでは、3,5%以上のアルコールは全て国営の酒屋(Systembolaget)で販売されています。 スウェーデンのアルコール規制の歴史は古く、すでに19世紀中頃には、アルコール中毒や健康被害などへの関心が高まり、国による規制が始まりました。
国営酒屋は、大きな街なら中心部に数軒はありますが、平日は18時まで、土曜は14時まで、日曜・休日は閉まっているなど、営業時間に制限があります。またスウェーデンでは、 酒税が高いため、多くの人がデンマークやドイツに買出しに行っています。
スウェーデン南部からフェリーで着くドイツの小さな街には、フェリー乗り場に隣接した大きな酒屋があり、スウェーデン語を話す店員までおり、店内はスウェーデン人でにぎわっています。EU加盟以降、アルコールの持ち込み可能本数が大幅に増えたおかげで、 フェリー代を払ってもドイツで大量購入したほうが安くつくというわけです。
しかしそう頻繁にドイツや近隣諸国を訪れるわけにもいきません。そこで最近、流行っているのがインターネットでの購入です。送料がかかりますが、やはり大量購入をすれば、 スウェーデン国内で購入するより安いようです。
それに異を唱えたスウェーデン政府でしたが、昨年の夏にルクセンブールで、EU内の自由な流通に反するとして、個人のアルコール輸入は禁止できないという決議を受けました。それに対して、インターネットでの購入はできるけれど、それに伴う酒税をスウェーデンで納めることが義務付けられていることが主張されました。 しかし実際に税金を払う人は、ほんのわずかです。そこでスウェーデン税務局が動き出しました。
スペイン、ドイツの税務局に連絡を取り、アルコール販売会社の顧客リストを入手、今までに12,000人のスウェーデン人購入者の名前が明らかになっています。なお、酒税は、6年前まで遡って計算されるとのことです。現地での税金、送料の上にさらにスウェーデンでの税金となると、 インターネットでの購入は結果的にかなり高くつくことになってしまいました。
このプロジェクトに関わる税務局の人件費のほうが、実際入ってくる税金よりも多くなるのではないかとも思われますが、そこまでして税金制度を徹底するところは、 さすがスウェーデンともいうべきでしょう。
次回の"スウェーデンからの報告"をお楽しみに!!
参考:
Olle Lonnaeus,“12 000 kopare av internetsprit kravs pa skatt”, Sydsvenskan, 2008 /04/04
Systembolaget http://en.wikipedia.org/wiki/Systembolaget