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スウェーデンからの報告 2008.01.25開始


翻訳会社 Language Union のスウェーデン語の翻訳者が、選んだスウェーデン国内の最新ニュースです。日本にいては分からないスウェーデンの情報を、読み易い日本語にしてご紹介しています。


第2回 " 歴史の授業が政治イデオロギーの戦場に ? " 2008/04/11


スウェーデンでは、先日、政府から出されたある通達に対して、反対の声が上がっています。その通達とは、「全国の高校の歴史の授業で、共産党政権によって行われた人権を脅かす犯罪について教えること」というものです。 目的は、特に旧ソビエト連邦、中国、カンボジアの共産党政権下による恐怖政治、圧制に対する知識を深めることとされていますが、それ対して、253人の歴史学者、大学教授らが反対の意を表明しています。反対派は、主に左派の大学教授、 マルクス主義者などですが、彼らの言い分は、歴史が政府のイデオロギー運動に利用されていること、開かれた歴史研究、批判態度が損なわれる危険があること、犯罪のみに注目して、共産主義を学ぶのは適したやり方ではない、などです。


スウェーデンの国旗

ことの起こりは、前政権時代にさかのぼります。実は、以前にも左派である社会民主労働党政府から、同じような主旨の通達が出されており、それは「高校の授業で、ナチス政権下に起こった犯罪について教えること」というものでした。 そして、政権が右派(穏健党、中央党、国民党自由、キリスト教民主党)にかわった現在、今度は、共産主義に関する同じような命令が下されたというわけです。時期が時期だけに、左派、右派政府による政治的イデオロギーのやり取りがあることは、 明らかでしょう。また今後、政権が交代する可能性は大いにあり、政権交代の度に高校の歴史の授業が影響を受けることにもなりかねません。


黄金のトナカイ像

スウェーデンでこのように国家が歴史に介入してくる例は、稀であると言えますが、他国では珍しいことではないようです。例えば、フランスでは、2006年の国会において、1915年にトルコでアルメニア人の虐殺があったことを否定するのを 禁止しようという討議がされました。また、スイスではそれを犯した人物が、実際に罰金に処せられています。それに対してトルコでは、虐殺があったという事実は隠され、それに対しての言論ができない状況にあります。国家の決定により、 言論の自由が侵されているという状況は、各国で起こっており、いわゆる「テロリストに対する戦争」と呼ばれているものにもあてはまるでしょう。


日本でも昨今、新しい歴史教科書問題、愛国心などの歴史教育が議論されてきました。教育が、政治的介入、イデオロギーに利用されることなく、いつの時代も公正で客観的な視点に基づいた歴史の授業が行われることを願いたいものです。



次回の"スウェーデンからの報告"をお楽しみに!!


参考:

Regeringen gor historia till ideologiskt slagfalt", Dagens Nyheter, 2008/04/02

"Upprop mot statlig kampanjhistoria" ,http://www.historieuppropet.se/


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